『僕の宝物』


僕がいつものように学校に行き教室に入ると少し人だかりが出来ていた。
何かと思い近づいてみるとその中心には同じクラスのゆうこがいる。

そしてそのゆうこの右腕は三角巾で吊られ真っ白なギプスがはめられているのだ。

「ゆうこどうしたの!?」
「大丈夫?」

とみんなが心配そうにゆうこに聞いている。
その会話を少し聞いていると、どうやらゆうこは昨日の部活中に転んでしまい手をついたときに骨折してしまったようだ。

ゆうこは明るく振る舞っていたがギプスを腕の付け値までがっちりとはめられた姿は痛々しい。チャイムが鳴り授業が始まり、ゆうこは利き腕の右腕にギプスをはめられているので、左手で必死にノートを書いている。

食事などもすべて慣れない左手で行っていてとても不自由そうだ。

そんなゆうこを見る日が何日もつづいた。

ゆうこもだいぶギプス生活に慣れてきたようだ。

そしてある日の休み時間、僕がよそ見をして歩いていると僕の手が何か固いも
のに当たった。

何かと見るとそれはゆうこのギプスだ。

僕はあわてて「ごめん!大丈夫?」と聞く。

ゆうこは

「大丈夫、もう痛くないから。」と笑って答えた。

僕はほっとしたと同時に初めて触ったギプスの感触がたまらなかった。

固くて冷たいゆうこのギプスに魅了されたのだ。
それからというもの僕の目はずっとゆうこのギプスを見ていた。

ゆうこのギプスにまた触りたいと毎日毎日思う。

日に日ににゆうこのギプスは黄ばんでいく。

僕はそんなゆうこのギプスが欲しくてたまらなくなった。

しかしそんなことは不可能なので見ているだけが精一杯だった。

そして約1ヵ月が経ちついにゆうこがギプスをはずして登校してきた。

僕はもうゆうこのギプスが見れないし触れないと残念に思っていた。

しかし、ゆうこははずれたギプスを病院でもらいみんなに見せるために学校に持ってきているのだ。


僕はこんなチャンスはないと思い、6時間目の体育の時間に仮病を使い保健室に行くふりをしてこっそり教室に行ってゆうこのカバンから二つに割れたギプスを出し、大急ぎで自分のカバンの奥に詰め込んだ。


体育が終わり、みんなが教室に帰ってくる。

僕もしんどそうなふりをして教室にもどった。

運よくゆうこは終礼が終わるまでギプスが無くなったことに気付かなかった。

僕は急いで家に帰り、自分の部屋でゆうこのギプスを取出した。

ギプスはやはり固くて何とも言えない感触で、我を忘れてギプスを触りまくる。

ギプスの内側はとても臭い。しかし、それがゆうこの約1ヵ月間の汗の匂いと思う
と余計に興奮する。

それからゆうこのギプスで自慰する日がつづいた…あれから10年。

今も僕はゆうこのギプスを触ってはゆうこのギプス姿を思い出し興奮を味わって
いる。

ゆうこのギプスは僕にとって何よりも宝物だ。