saikai

hisamitu氏作

Sorry Japanese only

-----------------------嫉妬


現在公立高校に通っている篠原菊子。きれいと言うよりは明るくかわいい感じの子だ。菊子は高2でバレーボール部に入っている。


真夏の蒸し暑い体育館の中、日々クラブに励んでいる。「今日も疲れたね」と練習後、菊子に声をかけたのは川原綾子。菊子の中学時代からの親友で、同じバレー部で頑張っている仲間だ。

二人は同じクラスで家も近くとても仲が良かった。そんなある日の部活中、「きゃあっ」と言う悲鳴とともに綾子が体育館の床に倒れこんだ。

「脚がぁ…」

どうやらスパイクを打ち着地するときに右足に激痛が走ったらしい。綾子は立ちあがることもできず、ただ苦しむだけである。

すぐに顧問の先生が駆け付けて、すぐに綾子を病院へ連れていった。菊子はとても心配で、部活後すぐに綾子が運ばれた病院に向かった。

菊子が病院に着いたとき綾子はまだ治療中だった。菊子は病室の前で待つことにした。そして10分程経ち、綾子が治療を終え病室からでてきた。

その綾子の姿を見たとき菊子は何とも言えない興奮でいっぱいになった。体操服の綾子は脚を太ももの付け根から指先まで真っ白く太いギプスでガチガチに固められ、両脇に木製の松葉杖をついていたのだ。


松葉杖と大きなギプスをしてゆっくりと病室から出てきた綾子は菊子をみて「菊子!来てくれたの!」と痛みをこらえて微笑んでうれしそうに言った。「綾子、大丈夫なの?」菊子が心配そうに聞くと「着地の時にひねっちゃって。

骨折だって。全治2ヵ月らしいわ。

とうぶん部活は見学ね」と少し落ち込んだ様子だった。その日は綾子は入院して3日後に学校に登校してきた。セーラー服のスカートの中は痛々しいギプスがはめられている。

菊子が綾子に「もう来て大丈夫なの?」と聞くと「うん、もい痛みもないし大丈夫!」と明るく答えた。

菊子は綾子の教室の移動な
どを手伝ってあげた。

教室の中では綾子の周りにクラスメイトが集まり「大丈夫?」「痛そうねぇ」「ギプスは大変ね」と声をかける。

菊子はそんなちやほやされる綾子が少しうらやましかった。

授業が終わり菊子と綾子は部活に行った。菊子はいつもどおり練習し、綾子は体育館のすみで椅子にすわって見学していた。菊子は綾子のギプス姿が気になってしょうがなかった。

その日の帰り道、菊子は「ねぇ、ギプスってどんな感じ?」と聞いてみた。綾子は「重いし、不自由だし最悪よ。


それに夏だからギプスの中がむれて気持ち悪いの。」と答えた。

菊子は「そうなんだぁ」と言いながら心の中で「ああ、ギプスっていいなぁ。

みんなに注目されて、脚をガチガチに固められて、私もギプスはめてみたい」と思っていた。そして「ギプス触らして」と聞いた。

「いいよ」綾子は何のためらいもなく答えた。菊子は綾子の固いギプスを何度も触り続けた。

菊子はギプスをはめた綾子がうらやましく、そして菊子のギプスをはめたいという気持ちは日に日に膨らんでいった。

やがて綾子の骨折もよくなり、ギプスもとれた。それを見た菊子はもうギプスを見れないし触れないと残念に思いつつ、次は自分が骨折すればいいんだと考えた。そしてその日の部活中、菊子はスパイクの時おもいきりジャンプして右足をひねって着地をした。その瞬間、菊子の右足に激痛が走った。


「きゃぁ〜」と思わず悲鳴をあげると、みんなが集まってきた。菊子は痛くてたまらなかったが心のなかで「これでギプスがはめれる」と思った。


そして先生に病院に運ばれ、医者に見てもらった。診断の結果、右足首の骨折と靱帯断裂ということだった。

菊子の脚には綾子と同じように太ももの付け根から指先まで真っ白いギプスがぐるぐる巻きにされた。菊子は心のなかでは「やった、あこがれのギプスだ」とよろこんだ。そして病室を出るとそこには綾子がいた。

「大丈夫!?」心配そうに綾子が聞く。

「うん、綾子の二の舞になっちゃった」と菊子は笑って答えた。

そして菊子は2日間入院したあと、学校へ登校した。真っ白な大きなギプスをし、松葉杖をついた菊子にクラスのみんなは心配そうに寄ってきた。

そしてちやほやされ菊子は最高の気分だった。菊子はみんなの注目を集めるように授業中にギプスを机のうえに乗せ太もものギプスの中にものさしをつっこんで「ギプスの中がかゆい〜」と言ったりしてギプス生活を楽しんだ友達には「ギプスに落書きしてよ」と言っていろいろ書いてもらったりしてギプスの生活を楽しんだ。

そんな楽しかったギプス生活も2ヵ月ほどで終わり、菊子のギプス生活は幕を閉じた。そんな菊子の高校生活は一生で最高の想いでとなった。

                            終わり